江蘇省馬鞍山市近くの高速道路で11日午前2時20分ごろ、トラックがガードレールを突き破り、道路脇の深さ7、8メートルの溝に転落した。積荷のジャガイモ数十トンはあたりに散らばった。明るくなった直後に周辺住民が大挙して押し寄せ、落ちているジャガイモを集め始めた。駆けつけた警察官が制止しようとしたが「多勢に無勢」で無駄だった。警察官は発砲した。中国徐州網などが報じた。

 トラックは山東省ナンバーで、溝に転落して大破した。運転手と助手は脱出できなくなった。警察と消防はクレーン車を出動され、トラックを溝から吊り上げて、運転手らを救出した。ただちに病院に運ばれたが、1人は重傷という。

 負傷者を救出した後、道路管理当局が現場の整理を始めた。夜が明けた午前6時ごろ、周辺住民が大挙して現場に押し寄せた。それぞれが電動三輪車、オート三輪、オートバイに乗り、手には網袋、ビニール袋を持っていた。荷台に段ボール箱を積んでいる物もいた。

 その場にいた警察官は「やめろ。持ち去るのは犯罪行為だ」と声をからして叫び続けたが、無駄だった。人々は現場に散開して、思い思いにジャガイモを集めた。

 応援の警察官が到着して、警戒線を設けたが、人々は突破してジャガイモを集め続けた。トラックが転落した深い溝に降りていく者もいた。

 ジャガイモ争奪戦になった。住民同士の殴り合いや、住民と警察官のもみ合いも発生した。警察は威嚇射撃を決意。群集から離れた場所で、上方に向けて発砲した。一部住民は撤退したが、それでも拾い続ける者がいた。

 警察はさらに、ジュラルミンの盾を持った警官隊を派遣。警察官の数が多くなり、住民は次第に排除されていった。持ち去られたジャガイモは5、6トンに上るとみられている。

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 中国では、事故を起こした車両から落ちた荷物を群衆が略奪する事件が相次いでいる。1日には四川省内の高速道路でトラックが横転して積荷のレイシを路上に散乱させたところ、周辺住民が雪崩(なだれ)のように高速道路内に乱入して、レイシを集めて持ち去った。

 けが人が出たこともある。2010年6月には広西チワン族自治区内の高速道路でトラックが横転して積荷のレイシを路上に散乱させたところ、人々はやはり、大挙して高速道路内に侵入し、レイシを拾い集めた。そこに別の自動車が突っ込み、2人が重傷を負った。

 中国では、事故車が落とした積荷などを、多くの人が寄ってたかって持ち去る現象が「中国式哄搶(中国式略奪)」と呼ばれている。「警官が威嚇射撃しても、高速道路で車にはねられる恐れがあっても、ものともせずに落ちた積荷を拾い続ける」など、得られるわずかな利益と比べてあまりにも危険な行為に人々が熱中する理由を分析する人もいるが、納得できるような合理的説明は見当たらない。

 写真は中国語版グーグルで「中国式 哄搶」を画像検索した結果。中国では「中国式略奪」の報道写真や現場に居合わせた一般人が撮影した写真が、インターネットで次々に転載されている。(編集担当:如月隼人)