中国で、教育分野にも「腐敗現象」が蔓延していることが、明らかになりはじめた。5月には、各地の大学の責任者の取り調べが相次いだ。

 中国共産党湖南省委員会紀律委員会は5月6日、同省長沙市に本部を置く中南大学の胡鉄輝元副学長を、紀律違反で取り調べていることを明らかにした。胡副学長は1951年生まれ。湖南医科大学附属病院院長や同大学の共産党委員会副書記などを務めた後、2000年4月から11年12月まで、中南副学長をつとめた。中南大学は、中国中央政府・教育部が直轄する全国重点大学のひとつ。

 中国共産党中央紀律委員会は同月9日、東華理工大学(本部・江西省撫州市)の劉慶成学長を重大な紀律違反の疑いで取り調べ中と発表した。劉学長は共産党同大学委員会の副書記を兼任。

 遼寧省紀律委員会は23日、遼寧医学学院(本部・遼寧省錦州市)の共産党委員会の張立洲元書記、梁宇恒元副学長、羅俊生元副学長、同大学付属第三医院(病院)の王志銘元院長の4人について重大な紀律違反と違法行為の容疑で取り調べ中と発表した。

 中国では「腐敗」問題について、まず地方または中央の共産党紀律委員会が「調査」を初め、同委員会が「全容をほぼ把握」と判断した時点で、案件が司法機関の扱いとなる。前後して、党除籍や公職からの追放が発表される。

 張立洲元書記ら4人については、党除籍・公職追放、党紀に違反して得た所得の没収などが行われ、司法機関が「事件」として処理を進めているという。

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◆解説◆
 中国ではこれまで、建設や交通分野における腐敗が多く伝えられてきた。その背景には、建設工事などに絡み業者と結託して費用を浮かす“おから工程(手抜き工事)”の結果、事故が多発して一般大衆に死傷者が出るなどの問題の相次いだことがある。

 中国当局は現在、従来はあまり目立たなかった分野の不正摘発にも力を入れている。現在注目されているのは、軍における調達分野、環境分野、石油や電力などのエネルギー分野がある。また、腐敗を監視し摘発する役目の共産党の紀律部門関係者が「摘発される」例が相次いでいる。

 それぞれの分野は、一定の「政治派閥」とつながりがあることが普通だ。特に「強力な権力者」が関係している場合、「メスが入れにくかった」という事情もある。「腐敗撲滅運動」についてはは共産党・政府の姿勢を正して国民の信頼を回復するという本来の目的だけでなく、政治抗争の色合いがさらに強まってきたとの見方がある。(編集担当:如月隼人)