香港メディアのアップル・デイリーは運営するニュースサイトで17日、ベトナムやフィリピンとの対立激化を受け、中国を痛烈に批判する文章を発表した。中国は何事にも「政治」を持ちだすが、その結果「脳が破壊された」状態になっていると主張。中国が進出すれば南シナ海の「ウミガメはもうおしまいだ。サンゴは砕かれる。(美味で知られる魚の)サギフエもハタも食いつくされる」などと論じた。

 ベトナムの状況については、台湾も中国の一部と見なされており、台湾当局が配った、ベトナム語で「私は台湾人」と書いた“まじない”も霊力を発揮しなかったと指摘。一方で、「日本企業が掲げた太陽の旗は霊力を発揮した」と主張。

 実際には日本企業にも被害が出た。しかし、日本企業ではベトナム人従業員が「ここは日本企業だ」と説明すると、押しよせた人々はそれ以上の破壊行為は行わず引き上げたなどと伝えられている。アップル・デイリーは日章旗のたとえで、中国だけがベトナムにおける憎しみの対象になっていると指摘した。

 中国人の特徴として、「どんなことも政治にからめて無駄話。しかも、その政治ときたら世の中のでたらめの集大成。それが人々に浴びせかけられる。この民族の脳は、明らかに破壊された」と主張。

 さらに「大変な苦痛だ。しかし彼らは、そのような自虐的な環境に自らを閉じ込めることを喜んでいる」と皮肉った。

 香港が1997年に英国から返還された際、中国側は「50年間は香港の体制を変えない」として、社会主義の押し付けや言論など香港がすでに享受している各種の自由を奪うことはしないと約束した。しかし、香港では「約束とはうらはらに、中国本土側の締め付けが、どんどんきつくなっている」と批判する人も多い。しかも、中国側が約束した「50年間」の期限は、2047年までということになる。現在からすれば、あと30年と少しだ。中国における「体制」の問題は、多くの香港人にとって「他人事ではない問題」として、おおきくのしかかってきているという。

 アップルデイリーの文章の、中国大陸や大陸人に対する痛切な批判も、自分自身の将来への不安が背景にあると考えてよい。

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 論説の後半では、中国による自然破壊を批判した。香港政府が、アフリカから中国大陸部に運ばれようとしてた密輸品の象牙28トンを焼却処分にすると発表したことについては「よいことだ」と評価。一方、ケニアには1989年に違法に採取された象牙を燃やした「記念公園」があり、先ごろ同国を訪問した中国の李克強首相も同公園を訪問した。

 論説は「首相は開口一番、『中国政府は野生動物を保護します』と述べた。それが『政治的に正しい』というわけだ。かつての(象牙を焼却した)アフリカの大統領のまねをしたのだ」、「しかしフィリピン政府が拿捕(だほ)した中国船では、ウミガメ500匹が見つかった」として、首相の「政治的発言」と、中国人の実際の行動の落差を皮肉った。

 中国政府は、フィリピンで起訴された中国人漁民9人をただちに釈放せよと主張している(11人が逮捕されたが2人は未成年だったため釈放)。しかし論説は「動物を虐殺した人の形をしたろくでなしは、1人も釈放するな」と、中国人漁民を厳しく非難した。

 そして「中国が勃興すれば、象牙で金儲けしようとして、アフリカの象を毎年2万頭も皆殺し」、「南シナ海では石油をめぐって争い、開発をめぐって争う。南シナ海のウミガメもおしまいだ。サンゴは砕かれる。(美味で知られる魚の)サギフエもハタも食いつくされる」などと論じた。なお、同文章が論じた、アフリカ象が密猟で殺される「年間2万頭」のすべてに中国が関係しているとはかぎらない。ただし、かなりの部分が「中国関連」であることは、間違いないとみられている。

 ベトナムで発生した中国企業などへの襲撃については、「(中国人が)愛国人士――あるいは『暴徒』と呼ぶべきかもしれないが――の暴力抗議の文化を呼び寄せた。ベトナム人の抗議文化に対して、香港人は包容力がある理性的な目で傍観していてよいだろう」として、被害を受けた中国企業に同情する必要はないと主張。「感情は正しい方向に用いよう。皆さんは、本当にまったく罪のない象とウミガメのために黙祷(もくとう)せねばならない」として文章を結んだ。(編集担当:如月隼人)