中国共産党機関紙の人民日報系ニュースサイト、環球網は15日、ベトナムで発生した反中暴動を強烈に非難する論説「ベトナムは自ら墓穴を掘った。お前らの暴徒は中国の忍耐心を奪い去った」を掲載した。同記事には海軍が演習時に撮影したとみられる写真を添付し「わが海軍護衛艦の猛烈な火力」との説明をつけた。

 文章は「ベトナム社会の反中デモは13日に、狂熱的な破壊と放火に転じた」、「中国大陸企業だけでなく、多くの台湾資本企業とその他の東南アジアへの投資プロジェクトにも影響が及んだ」、「惨状がもっともひどいのは台湾企業」などと紹介。

 一部の国際的メディアも「無政府主義国家」、「民族主義が燃える国家」と論評しているとして、事態を「ベトナムは長期にわたる反中主義の報いをうけることになった。ベトナムは法的根拠もなく、現実的能力もないのに、長期にわたり西沙(パラセル諸島の中国名)と南沙(スプラトリー諸島の中国名)を“神聖な領土”と声高に宣伝し、(自国社会に対して)妥協ができない雰囲気をたきつけてきた」、「国自体をまったく希望のない袋小路に押し込んだ」と主張。

 ベトナムの状況を“袋小路”と決めつける論拠として「中国がベトナムに譲歩することは、ありえない。ベトナムも中国を後退させる実力を持たない」と主張し、「ベトナムはその、無限に膨張する民族主義の炎を自分自身で消すしかない。ベトナム自身が、とてつもない苦しみを味わうことになる」と論じた。

 外国企業に被害が出たことで「ベトナムは投資者と投資者の背後にある社会にとって共通の怪獣となった。ベトナムは東アジアの投資者の公敵になった。ベトナムがこのたび示した態度にある巨大な不確実性は必ずや、外資の信用を打ち砕くことになる。結果は巡り巡ってすべて最終的にベトナム自身の頭上に落ちてくることになる」と主張。

 さらに、外国資本に与えた損害について「賠償せねばならない。もしごまかすようなら、該当する国と地域が容赦することはない。賠償をめぐる争議はいずれの場合でも、ベトナムのこのたびさらした面汚しの事態による、政治面にもたらされる利息となる」と論じた。

 論説は、中国で発生した対日暴動にも触れたが、「街を壊す行為が発生した。ただし、中国のデモ参加者が起こした破壊行為は非常に限定されていた。かつ、社会世論の反省も、極めて迅速だった」と自己弁護した。

 ベトナムについては「当局は一部の破壊者を捕えたが、14日になっても事態は全面的には収まっていない。ベトナムの世論でも、破壊者全体に対する非難は形成されていない」として、「ベトナムは自ら、将来への墓穴を掘った。ベトナムは空前の高慢さと思い上がりをあからさまにした。自らを知る知恵を捨て去った。アジアの大局を見誤った。何度も中国に対抗した歴史の教訓も、脳から捨て去った。ベトナムは、自分が欲するものなら必ず得られると思い、ボロ船を何隻か出して西沙で騒げば、南シナ海の地縁にもとづく政治の現実を書き換えられると幻想したのだ」と決めつけた。

 論説はさらに「ハノイ(ベトナム政府)は知るべきだ。街中であのようなふざけたことを中国のような大国に対してすれば、遊びではない結果になる。小賢しい遊びで、自らを傷つけ自らに後遺症を残すのもよいだろう。しかし、お前が本当に“発狂”しており、最後の限界が分からないというならば、最終的に中国からどのような仕打ちを受けるか、覚えておくがよい」と、激烈な論調でベトナム政府を非難した。

 論説は最後の部分を「ハノイがもし、冷静になれず、反省することを拒絶するなら、よいだろう。お前らの暴徒は同時に、中国人の忍耐心も奪い去ってしまったのだ」と結んだ。

 同記事には海軍が演習時に撮影したとみられる写真を添付し「わが海軍護衛艦のロシア式艦砲の猛烈な火力」との説明をつけた(写真)。

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◆解説◆
 環球網は、中国共産党委員会の機関紙「人民日報」の姉妹誌で国際情報に力を入れる環球時報が併設しているニュースサイト。激烈な愛国論調が特徴。ただし、環球時報や環球網の主張は、共産党の思想をそのまま反映したのではなく、「売上増」を狙った商業目的が強いと考えてよい。

 中国では報道が共産党・政府の統制下にあるが、愛国論調であれば相当に過激なことを書いても処分・処罰の対象にならないことから、過激な論調で読者を獲得するという計算があるとされる。

 環球時報や環球網の論調には、極めて強引な「ご都合主義」もあり、中国人ジャーナリストも露骨に嫌悪感を示すことがある。ただし、経済成長の「果実」から取り残されるなどで不満を持つ若者層である「憤青(フェンチン、怒れる青年の意)」を煽り立てる面があり、影響を過小評価することはできない。

 過激な主張により「タカ派将軍」として知られるは中国戦略文化促進会常務副会長の羅援氏の文章も、環球時報に掲載されることが多い。(編集担当:如月隼人)