甘粛省蘭州市で10日、水道水から安全基準を大きく上回った有毒物質のベンゼンが検出された件で、市当局は市内の化学工場が現在から27年前の1987年と12年前の2002年に発生した爆発事故で漏れた油が地下水に混入したためとの見方を示した。中国甘粛網などが報じた。

 ベンゼンは炭素と水素からなる有機物質で、化学工業用の中間原料などとして重要な物質だが有毒であり、発癌性(はつがんせい)も確認されている。

 水道水のベンゼン汚染が明るみに出た後に、、発生源との疑いが持たれた中国石油蘭州石化公司の周辺地域でボーリングを行ったところ、ベンゼンを含む地下水が大量に存在することが分かった。

 同公司で1982年から2003年まで稼働していた石油精製施設は、1987年と2002年に物理的爆発事故を発生させた。1987年12月28日に発生した爆発では、噴出した油のうち34トン分が回収できずに地下に浸透したとみられている。

 2002年4月3日に発生した爆発事故でも、推定量は不明だが消火用の水に交じって大量の油が地下に浸透していったとみられている。

 環境問題の専門家は、87年と02年の爆発で発生した化学物質が、水道水汚染の原因とみている。ただし、蘭州市は市内を流れる黄河の、市街地中心部よりもやや上流で取水し、浄水した上で水道水としており、ベンゼンが水道水に混入した具体的な経緯については伝えられていない。

 蘭州市の水道事業はフランス系の威立雅水務(ウェオリア・ウオーター)が運営している。同社が水道水から最初に基準を大きく上回るベンゼンを検出したのは10日午後5時で、市政府に報告したのが11日午前5時(政府側は午前7時と発表)だったことで、批判が高まった。

 また、同社が1950年代の施設を使い続けているとする批判もあり「資本も技術も持ってこなかった」、「中国から出ていけ」との声が出ている。

 中国では化学工場の爆発・炎上事故も多発している。日本の場合には、石油化学コンビナートが海岸地帯に作られることが多いが、中国では内陸部にも多い。しかも、中国北部では水道水に地下水が多く用いられている。

 蘭州の「水道水ベンゼン汚染」の原因が27年前、12年前に発生した爆発事故とすれば、中国の多くの都市で今後も長い年月にわたって「水道水の化学物質汚染」を警戒せねばならないことになる。(編集担当:如月隼人)