4月5日は1年を24に区切る「二十四節気」で「清明」、「清明節」と呼ばれる日だった。中国では墓参りの日とされている。日本の「春のお彼岸」ににた習慣だ。共産党機関紙の人民日報は清明節の墓参りと先祖供養について「低俗化傾向が見られる」と批判した。故人に“美女”を供養する例まであるという。

 中国では文化大革命など極端な社会主義政策の時代、「墓参り」などの行為が「迷信」として批判の対象になった。そのため、多くの墓が手入れをされることもなく、荒れ果てたという。

 1980年ごろからは徐々に、墓参りや先祖祭りが咎められなくなった。その後の改革開放で暮らしに余裕ができたことで、人々は墓づくりや供物などで、豪華さを競うようになった。

 中国では古くから、薄い紙で「模造紙幣」をつくり、墓前で燃やして故人に備える風習がある。「あの世で、お金に不自由しないように」との願いを込めたものだ。

 ところが「この世」の生活にさまざまな物品があふれるようになると、「供え物」も多種多様になってきた。いずれも紙で作ったものだが、「液晶テレビ」、「携帯電話」、「iPad」などは序の口で「高級車」、「高級住宅」などの“不動産分野”にも供え物は“進化”した。

 この紙の供え物における「新規商品の投入」、実は90年代に始まっていた。当初は「冷蔵庫」、「テレビ」、「洗濯機」などが多く、「物質的な豊かさをさほど享受するに亡くなってしまった故人に、あの世ではせめて楽をしてほしいと」というやさしい心遣いを感じることができた。

 しかしその後は、「煩悩全開」としか言いようのないエスカレートぶりだった。自分の父や祖父に対して「美女」の紙型を供える人も増えた。「あの世における夫婦円満」はどうなるのだろうかと、他人事なから心配になるほどだ。「用心棒」を供える人もいる。「故人は、あの世まで行っても他人に狙われるような稼業を営んでいたのか」と勘繰りたくもなる。

 人民日報は専門家の意見として、「時代が進歩すれば、古いものに変わって新たな供え物が出現するのは、そう非難すべきことでもない」とした上で、「美女」などを供えるのは明らかな低俗化の傾向と指摘。「亡き人に対する不敬だ」と批判した。

 一方で、「清明節」ビジネスも活況だ。顧客は「どうしても時間を取れない」、「墓が現住所から遠い地方にある」といった人々。通販サイトに「清明節用サービス」が並ぶ。「代理墓掃除」、「代理礼拝」、「代理献花」などの“基本商品”から、「代理叩頭(土下座して、頭を地面に打ちつける)」、「代理号泣」まで多彩なラインアップだ。「フルセット480元(約7970円)」、「一般サービス280元(約4650円)」といった代金を支払えば、「ご先祖様を十分にお喜びいただける」という改革開放と市場経済によって実現が可能になった便利なサービスだ。

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 中国では、「清明節」に墓前で爆竹を鳴らす場合もある。現在では危険防止のために禁止している墓地が多いが、あちこちから爆竹の音が聞こえてくる。多くの人がつめかけ、ご先祖様が静かに眠る墓地のあちこちにごみを投げ捨てて行くので、清掃の従業員は大忙しだ。

 また、いたるところで燃やす紙が風に吹かれて飛んで行ったり、爆竹に点火するので、火災も絶えない。湖南省の省都、長沙市の郊外である長沙県では2014年になってから森林火災が200件発生したが、7割は墓参の人が燃やした紙や爆竹が原因という。(編集担当:如月隼人)