中国政府・国防部は3月31日、中国人民解放軍軍事検察院は同軍総後勤部の副部長だった谷俊山中将を収賄、公金横領、職権乱用の疑いにより同日付で、軍事法院(裁判所)に起訴したと発表した。国防部は同日、公式サイトに「関係する内容が軍事機密に関係するため、裁判は非公開になる可能性がある」とする論評を掲載した。

 谷被告は1956年生まれ。装備など各種物資の調達、生活面を含めた将兵の活動維持、施設の構築や維持など後方勤務を担当する「後勤」部門に長くたずさわった。2009年には中国人民解放軍総後部副部長に就任。少将昇進は03年7月、中将は11年だった。しかし汚職の疑いが持たれ2012年2月から調査の対象になり、解任された。現在までに「中将」の位が剥奪されたかどうかは、不明。

 谷被告は軍用地の販売で、代金の一部を着服するなどで不正蓄財をしていたとされる。その他にも数多くの余罪があるとみられている。また、家族が経営する会社はロッカーやベッド、事務机を生産しており、軍に納品していた。また、「中国の女の芸能人は皆、オレのおもちゃになったことがある」と語ったことがあるとされる。

 故郷の河南省内で1月に行われた家宅捜索では、地下室から大量の高級酒「マオタイ酒」が見つかった。軍向けの「特別仕様」だったという。その他、純金の毛沢東像や船など大量のぜいたく品が見つかった。搬送にはトラック4台を要したとされる。

 谷被告は江沢民元国家主席に近い立場だったとされる。2012年の問題発覚から起訴までに長い時間がかかったことについては、「軍側の抵抗」、「軍の最高級幹部に関連する者が多くいて、なかなか手がつけられなかった」などの見方が出た。

 国防部が同件に関連して公式サイトに掲載した文章は「刑事訴訟上は国家の秘密または個人のプライバシーに関係する案件では、審理を公開しないと定めている」と紹介した上で、「谷俊山の案件は、軍の後方勤務の装備生産、調達状況、あるいは軍事機密にかかわる可能性があり、その場合には軍事法廷は審理を公開しない」、「軍事機密は国家機密の重要な内容であり、国家の安全に関係する。法律で関連する審理を公開しないことは、国際的な司法の慣例にも合致する」との考えを示した。

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 中国では胡錦濤政権下で共産党政治局常務委員会委員を務め、党内序列9位にまでなった周永康氏も、汚職の疑いで取り調べを受けているとされる。胡錦濤政権は内部で、胡錦濤国家主席-温家宝首相を筆頭とする派閥と、江沢民前主席を中心とする派閥が暗闘を続けたとされる。周永康氏は江沢民派の重要人物のひとりだった。

 周氏の取り調べについては、親族や部下などの周辺人物約300人が身柄を拘束されたとの説もある。(編集担当:如月隼人)