大陸側との経済協定をめぐって馬英九政権に反発を強めている市民らは、台北市内の総統府前などで30日に大規模が抗議活動を展開する。当局側は29日夜から「夜鷹部隊」と呼ばれる特殊部隊を投入するなどで厳戒態勢を取っている。総統府に突入を試みる者が出た場合などには、実弾射撃も辞さない考えだ。

 30日の抗議活動参加のため、台湾全土から馬政権に反対する人々が台湾に向った。台湾メディアによると、学生など若年層だけでなく、70歳を超えた高齢者の姿も見られたという。

 台湾では、馬英九政権が大陸側とのサービス貿易協定の発効を強行しようとしたことで、学生らが反発。個別の政策に対してだけでなく、政権側に力ずくの弾圧が顕著として、「非民主的」、「ヒトラーと同じ」などと、馬英九総統そのものに対する非難へと、事態はエスカレートしつつある。

 大陸サービス貿易については、与党側が立法院(国会)で「条文ごとに審議する。一括での採決はしない」などと約束しながら、「時間切れ」を理由に審議を終了させ、一方的に大陸と合意した通りに採択の宣言をしたことで、反対派が態度を硬化させた。馬政権には原発建設について2013年に「国民投票にかける」と表明しながら、その後は一向に「国民投票」に言及しなくなったこともあり、「約束を踏みにじってでも、目的の実現には手段を選ばない。民主的方法とは対極的な、まさに独裁」といった批判が急速に高まった。

 馬総統に反対する学生らは18日に立法院(国会)に突入。30日正午現在も立法院議場などの占拠を続けている。別の学生一派は23日に行政院(内閣)に突入。行政院の学生は24日までに警察により排除されたが、流血の事態になった。

 メディアの報道では「残虐なシーン」に規制がかけられ、映像もぼかされるなどしたが、抗議に参加した人がインターネットを通じて、警官隊に殴られて血まみれになる人などの姿を「これが真実だ」などとして大量に公開し、台湾社会はショックを受けた。

 李元総統も公開の場で涙を流し、言葉をつまらせながら「若者がかわいそうだ。政府は彼らの意見を聞くべきだ」などと、馬政権を強く批判した。

 30日の大規模抗議に先立ち、台北市の〓龍斌市長は「行政院の強制排除でわれわれは教訓を得た。市政府も教訓を得た」と表明。市政府や警察は学生側と意思疎通のパイプを設け、「何か魂胆を持つ者が、学生あるいは警察に面倒や災難をもたらすことを避ける。前回(行政院における強制排除)よりも必ずうまく処理する」、「(抗議側に)求められるのは平和的、理性的に意志を表明することだ。市政府はソフトに処理する」と述べた。(〓は「赤」におおざと)

 しかし、警察側は29日から厳戒態勢を敷いた。2000人の警察官を投入したが、抗議側の人数にははるかに及ばない。総統府は台湾の政治上、行政院とは比較にならないほどの重要性を持つ。そのため、当局側は憲兵特勤隊(特殊部隊)である「夜鷹部隊」も待機させ、何重ものバリケードを設けた。

 憲兵特勤隊はテロ行為への対応や暴動鎮圧などを任務とする部隊で、「さまざまな事態に対する対応を想定。「状況がコントロールできなくなった場合には、実弾射撃による制止も辞さない考え」という。(編集担当:如月隼人)