福建省福州市内の病院で、電子レンジ内で卵が爆発し、近くにいた女性が顔や首にやけどをする事故が発生した。同病院で働くことになるまで電子レンジを使ったことのない地方出身の介護人が、卵を加熱したためと分かった。福州晩報が報じた。中国では伝統的に人々の知識の格差が大きかったが、現在では経済格差が人々の知識の差に拍車をかけている状況がある。

 中国の病院では、入院患者が身の回りの世話をしてもらう「介護人」を個人的に雇うことが珍しくない。多くの場合、介護人は現金収入を得るために農村部から都会に来た人だ。福州市内の病院で発生した「卵爆発」では、卵を電子レンジで加熱して爆発させた人も、やけどをした人も介護人だった。

 介護人として働く女性の李さんは5日、病院内に備え付けられている電子レンジを使おうとした。レンジに近づいたところ、いきなり「バン!」という大きな音がして扉が開き、中から熱い卵やしずくが噴出。よける間もなく、顔や首に浴びた。体にもしずくが飛び散った。

 別の男性介護人が直前に、電子レンジに卵などを入れて加熱しはじめていたことが分かった。李さんは男性介護人にやけどの治療費を支払うよう求めたが、男性介護人は「自分は悪いことをしていない」と言い張った。李さんは警察に通報した。

 駆け付けた警察官が男性介護人に事情を聞くと、男性は福州市に働きに来るまで電子レンジを使ったことがなかったと分かった。食べ物を入れてスイッチを入れると暖かくなることを知り、「これは便利だ」と思って使っていたが、卵など加熱すると爆発の危険がある食品があることは知らなかったという。

 警察官が「あなたには責任がある」と説明したので、男性介護人は治療費として300元(約5000円)を支払うことで同意。李さんも了承した。李さんに世話してもらっている入院患者も李さんのことを気の毒に思い、別に200元(約3780円)を手渡した。

 警察官はその後、男性介護人に電子レンジの使い方と注意事項を懇切丁寧に教えた。

 中国では伝統的に、人々の知識の格差が大きかった。特に農村部では、「生まれてから死ぬまで、自分の村を出たことがなく、都会の人は見たこともない」という人も珍しくなかったという。

 1966年から76年にかけての文化大革命期は、全国が大混乱した「失われた10年」などとされているが、紅衛兵は「政治運動」のため、鉄道を無料で利用して北京などに行くことを認められたため、地方出身の多くの青少年が都会に足を運ぶことになった。一方で、都会出身で一定以上の教育を受けた者が大量に、「知識青年」として農村部に赴任した。これらの「人の移動」は、多くの農村居住者が「自分の生まれ故郷以外にも世界はある」との、意識変革のきっかけになったという。

 現在でも中国人の「知識格差」はかなり大きい。最近では、地方出身者や貧困な人が、新たに登場した家電製品などと「無縁の生活を送る」などで、社会と生活の変革から取り残されるという「格差」も発生している。(編集担当:如月隼人)