中国とフィリピンが領有権を争うスカボロー礁(中国名:黄岩島)付近で25日、中国の海洋監視船がフィリピン漁船に放水して駆逐したことで、ィリピンでは中国に対する反発が高まった。フィリピン軍報道官は同日、「時期が来れば躊躇(ちゅうちょ)なく、フィリピン人を保護する行動をとる」と述べた。中国新聞社などが報じた。

 スカボロー礁はフィリピンのルソン島の西、約220キロメートルの位置にある。中国の広東省深セン市付近からはほぼ南東の900キロメートル程度で、海南島からもほぼ同じ距離だ。長年にわたり中国とフィリピンが領有権を主張して対立している。

 中国の海洋監視船が25日、同礁付近でフィリピン漁船に高圧放水をして駆逐したことで、フィリピン側に反発が高まった。

 フィリピン軍報道官は同日、スカボロー礁について「西部軍区の管轄下におく。わが国の対外防衛機能を高めるため、西部軍区の能力向上に集中する」、「西部軍区には、領土防衛と監視のための必要な軍事施設がある。該当地区を偵察するための航空機も備えている」と述べた。

 スカボロー礁を西部軍区の管轄下に置くことは、エマニュエル・バウティスタ参謀総長がすでに命令したという。

 同軍報道官は、中国側は1月にもフィリピン漁民に「いやがらせ」をしたと表明。これまでは「これまでわが軍は(上部からの)軍事的対応を許されていなかったが、時期が来れば躊躇(ちゅうちょ)なく、フィリピン人を保護する行動をとる」と述べた。

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◆解説◆
 フィリピンにはスペインの植民地になり米国に割譲され、第二次世界大戦後の1946年に独立したた歴史がある。

 米国とスペインの条約で定められたフィリピンの範囲にはスカボロー礁が含まれていない。ただし、フィリピン政府はフィリピン政府は、スカボロー礁の周辺海域は遅くとも16世紀にはフィリピン漁民の漁場であり、(島よりも小さな)岩礁なので条約の対象外になっているだけで、国際法上の判例を踏まえると、スカボロー礁は管轄権の行使を行っていたフィリピンの領土と主張している。

 中国はスカボロー礁について、周辺海域は海南島の漁民の古くからの漁場であり、(元朝時代の)1279年に、天文学者の郭守敬が「四海測験」を行なった時、南シナ海ではこの島を測量地点のひとつにしたと主張。

 1935年には中華民国政府がスカボロー礁を中華民国領に編入し、47年に出版した「南海諸島位置図」にも自国領として記入した。なお、中華民国ではスカボロー礁を「民主礁」と呼んでいた。中華人民共和国が「黄岩島」を正式名としたのは1983年だった。

 郭守敬は「四海測験」実施にあたり、27カ所で観測を行った。うち「南海」と呼ばれる重要な観測地点については、広州、林邑(現在のベトナム中部)、パラセル諸島(中国名:西沙群島)、スカボロー礁のいずれかとする説が有力だ。

 つまり、スカボロー礁が「四海測験」の観測地点と学術的に確定したわけではない。また学問的に確定したと認められた場合にも、「ゆえにスカボロー礁は中国領」とする決定的な根拠にはならない。

 スカボロー礁については、炭素14の年代測定により、陸地になってからの時間が470年プラス・マイナス95年であり、1279年の「四海測験」実施時に観測点になったとは考えられないとの説もある。(編集担当:如月隼人)