人民日報系の中国のニュースサイト「環球網」は20日、「中国の単独兵ミサイルの秘密を掲載:多くの国に輸出し、続々と優秀な戦績」との見出しで、同国が自主開発したというAFT-11(紅箭-11)を紹介する写真記事を掲載した。

 AFT-11は弾頭から照射したレーザー光線の、目標からの反射を検知して飛行するセミアクティブ誘導方式という。

 対戦車ミサイルが実践に使われたのは第2次世界大戦後で、対戦車ミサイルは発射後に照準手がジョイスティックで誘導する第1世代、発射後に照準器の中心に目標をとらえていれば、有線で誘導される第2世代と続いた。AFT-11の誘導方式は、世界的には第2.5世代とされることが普通だが、中国では第3世代と位置づけている。

 記事は、「中国は最近になり、兵士が単独で使用できる防空、対戦車などさまざまなミサイルの開発・実用化を進めている」と紹介した。

 見出しには「多くの国に輸出し、続々と優秀な戦績」と書いたが、具体例は紹介しなかった。ただしこれまでに、シリア政府軍が中国の「紅箭-8」対戦車ミサイルによく似してる武器を使って反政府側を攻撃中とみられる映像が公開されたことがある。

 対戦車ミサイルは低コストで敵側の戦車を駆逐できる特徴がある。そのため、さまざまなルートを通じて拡散すれば、テロリストや深刻な問題を起こして国際社会から締め出された政権などに利用されやすいなどの問題点もある。

 なお、世界的に第3世代の対戦車ミサイルとされるのは、米国のジャベリンや日本の01式軽対戦車誘導弾のように、ミサイルが目標が発する赤外線をとらえ、映像として判断しながら飛行するパッシブ誘導方式のものだ。同方式は、発射後すばやく射手が退避できるなどで人的被害を抑えるには効果的だが、相手側の赤外線ジャミング(電磁波による妨害)に弱いなどの問題もある。

**********

◆解説◆

 日本は第二次世界大戦後60年以上にわたって「平和主義国家」として、武器輸出に極めて慎重な姿勢を取り続けてきた。2013年に「国際平和協力業務(PKO)」として南スーダンに派遣された陸上自衛隊の部隊が、韓国軍部隊が弾薬不足に陥った際に、要請を受け国連を通じて銃弾を提供したことに対しても、日本国内で批判が出たほどだ。

 批判の是非はともかくとして、他国への武器提供に極めて慎重であり、多くの人が「やむをえない緊急事態」と考えられる事例についても、異論を唱える一定数の人々が存在することから、日本は「自らも戦争の回避のためにできるかぎりの努力をする」だけでなく、「他国の戦闘行為にも、たとえ間接的な方式であれ加担することを可能なかぎり避ける」という精神的風土を定着させてきたことが分かる。

 日本の場合、第二次世界大戦が反省材料となり、時として過剰に概念的になる場合もあるにせよ、「平和を極力優先させるべき」という健全な意識が存在すると考えてい。

 この点はドイツも似ており、また第二次世界大戦で勝利した米国もベトナム戦争などで、「戦争に対する深刻な反省」をした経験がある。

 中国の場合には、「外国の侵略を武力ではねのけて新中国を発足させた」というたて前があり、中華人民共和国成立以来の朝鮮戦争や対インド、対ベトナムの戦争も「侵略をはねのけるため」、「自衛のための反撃」との位置づけだ。中国は「自国がかかわった戦争に対する深刻な反省」の機会を持たず、戦争で「加害者になる可能性の恐ろしさ」も痛感することのないままに現在に至っていると考えてよい。

 中国では武器輸出についても、「自国の軍事技術が世界的に受け入れられた」との喜びを匂わすニュアンスで報道されることが一般的だ。

 紀元前に老子が説いた「武器はどうしても使わねばならない場合であっても感情は抑え、戦いの結果の勝利も賛美すべきではない。賛美すれば、それこそ人殺しを楽しむことになる」、「戦争では勝利を得られても、(敵であれ味方であれ)人を死なせてしまったのだから、葬儀と同様にふるまうものだ」といった戦争や武器使用についての深刻な反省は、現代の中国人にとっては、相当に縁遠いものになってしまったと言わざるをえない。(写真は環球網の20日付の同報道)(編集担当:如月隼人)