中国で生きていくために必要なもの、といえば「コネ」だ。市場経済が導入され、グローバル化が進む昨今でも中国における「コネ」の威力に変化はない。なぜ中国では「不公平」の代名詞ともいえる「コネ」が消えてなくならないのだろうか。

 中国の著名な時事評論家、風青楊さんは自身のブログ上にそのヒントを示した。風さんは最新のネット調査で、大学生の約50%が「コネは大事」と回答したというデータを紹介したうえで、以下のように論じた。

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 「コネ」を論じるうえで恐ろしいのは、それがすでに中国人の骨髄に深く入り込んでいて、何をするにも「どのコネが使えるか」を考えるようになっている点だ。

 西洋でもキーパーソンと知り合うことは出世や商売繁盛につながる。しかし、「コネ」がなくとも普通に生きていけるから、人間関係が法や道徳を超越することない。中国社会の問題点は、「コネ」がなければ生きていくことができないこと。法を超越し、道徳を腐らせ、ルールを破壊する不公平な「コネ」は、政治も経済も文化もダメにする。これを打ち破らなければ、民主政治、法治社会の実現は難しい。

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 中国人にしてみれば、「コネ」は「人生を豊かにするもの」、ではなくて「生きるうえで絶対に必要なもの」なのである。それが無かったら死んでしまう、水や食べ物と同様のものなのである。

 そもそも、「コネ」が必要になったのは、かつて戦乱続きの世の中で食べ物が万民に行き渡らず、偉い人の庇護がなければ飢え死にしてしまうからだろう。そこには法がうんぬん、などと言っている暇はなかった。しかし、世界第2の経済大国になった今でも、その状況は変わっていないのだろうか。「コネ」なんてなくてもみんなそれなりに食べていける世の中が、共産党政権が2020年までに目指す「小康社会」なのではないのか。

 風さんの指摘するとおり、豊かで公平な社会を実現するために最優先で取り組むべき目標は「コネ社会の撲滅」なのかもしれない。党も「清廉」だの「反腐敗」だのではなく、いっそのこと「コネ社会の徹底破壊」、「コネがなくても豊かに生きられる社会」をスローガンにしてしまえばいいのに。しかし、そんなスローガンを立てた瞬間、「コネ社会」の恩恵にあずかっている人々からとてつもない圧力がかかり、あっという間に「なかったこと」になるに違いない。

 実は昔、中国人の先生と一緒に旅行中「駅長が先生の知り合い」という「コネ」によって、予約ミスでチケットが取れなかった列車の乗務員専用車両に乗せてもらったことがある。これが噂に聞いた「コネの力」か、と驚いた一方で、そんな「すばらしい」力を持ったら手放したくなくなるだろうとも思った。だから、中国で「コネなし社会」を作るにはまったく「コネ」の恩恵を受けられない人びとが反乱を起こして今の社会をひっくり返すか、みんなが黙って従うほどの高い徳を持った聖人君子が出現して「コネは止めよ」と言うのを待つしかない、というのは言い過ぎだろうか。(編集担当:近間由保)